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試用期間中の最低賃金

Q:最低賃金は試みの使用期間中の従業員であっても適用されるのでしょうか?

【事例】当社では、3ヶ月間の試みの使用期間があります。使用期間中は研修として、当社のさまざまな業務をみてもらっています。特に業務らしい業務を行っていないのですが、最低賃金の適用はあるのでしょうか?

A:あります。最低賃金は、原則として、すべての労働者とその使用者に適用されます。ただし、特例も認められています。

〜最低賃金の適用労働者について〜
地域別最低賃金は、原則として各都道府県で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。また、特定(産業別)最低賃金は、特定地域内の特定産業の基幹労働者とその使用者に対して適用されます。

〜特定(産業別)最低賃金の適用されない労働者について〜
18歳未満または65歳以上の人、雇入後一定期間未満の技能習得中の人、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する人などには適用されません。ただし、地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

〜最低賃金の減額の特例について〜
一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、使用者は、以下の労働者について、都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
@精神または身体の障がいにより著しく労働能力の低い人
A試みの使用期間中の人
B基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている人のうち厚生労働省令で定める人
C軽易な業務に従事する人
D断続的労働に従事する人

〜@精神または身体の障がいにより著しく労働能力の低い人について〜
単に障がいがあるだけでは、許可の対象とはなりません。その障がいが業務の遂行に、直接、支障を与えていることが明白である必要があります。また、障がいがあったとしても、その支障の程度が著しい場合でなければ、許可の対象とはなりません。

〜A試みの使用期間中の人について〜
「試みの使用期間」とは、当該期間中、または当該期間の後に本採用をするか否かの判断を行うための試験的な使用期間で、労働協約、就業規則または労働契約において定められているものをいいます。減額の特例の対象となるのは、以下のように「試みの使用期間」中に減額対象労働者の賃金を最低賃金額未満とすることに合理性がある場合に限られます。
@申請のあった業種または職種の本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度であること
A申請のあった業種または職種の本採用労働者に比較して、試みの使用期間中の労働者の賃金を著しく低額に定める慣行が存在すること

〜B基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている人のうち厚生労働省令で定める人について〜
最低賃金の減額の特例許可の対象となる「認定職業訓練を受けている人」は、職業能力開発促進法施行規則第9条において、「以下の訓練を受ける者であって、職業を転換するために職業訓練を受けるもの以外の者」と定められています。
@普通課程の普通職業訓練
A短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る)の普通職業訓練
B専門課程の高度職業訓練

〜C軽易な業務に従事する人について〜
最低賃金の減額の特例許可の対象となる「軽易な業務」とは、業務の進行や能率についてほとんど規制を受けない物の片付け、清掃等の所属事業場本来の業務には属さず、当該事業場に同種の労働者がほとんどいない例外的なものであり、当該労働者の従事する業務が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な業務のことです。
※「常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者」は、軽易な業務に従事する者に該当します。ただし、その業務が所属事業場の本来業務であったり、業務の進行や能率について規制を受けたり、精神的緊張が少なくない場合は、その業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な業務とは言えず、許可の対象とはなりません。

〜D断続的労働に従事する人について〜
最低賃金の減額の特例許可の対象となる「断続的労働」とは、常態として作業が間欠的に行われるもので、作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、また中断する、というように繰り返されるもののことで、実作業時間と手待ち時間とが繰り返されて一体として成り立っている労働形態です。
※労働時間中の実作業時間と手待ち時間が交互に繰り返さない場合や、本来継続的に作業するものであるにもかかわらず、労働の途中に休憩時間を何回も入れるなど人為的に断続的な労働形態を採用した場合は、許可の対象とはなりません。